伊賀焼の窯元「土楽」について
7代目福森雅武さんは、かの白洲正子さんと交流があることで知られています。
白洲さんの随筆には土楽がよく登場しますね。白洲さんがいかに土楽の陶器に惚れ込んだかが、よく分かります。
毎度、窯焼きの際は塩と日本酒をお供えし、神様に手を合わせてから窯焼きします。
私が福森さんに初めてお目にかかったのは3年ほど前。京都の個展で友人を通じてご紹介いただきました。お父さんの福森雅武さんと4女の福森道歩さんの「二人展」でした。
ちょうど「野菜料理の365日」の撮影で使う土鍋を探していた時のことで、道歩さんが土鍋を譲ってくださり、「花子さん」と名前まで付けてくださいました。
撮影まで1ヶ月ほどあったので「花子さん」をいつもコンロの上に置いて、とにかく毎日のように使いました。
どんな料理にも使いました。炒める、焼く、蒸す、炊く...オーブンにも使えるので和洋折衷、いろいろ料理で使えるのでびっくり!すっかり惚れ込んでしまいました。
studio482+で販売してる深緑が美しい土鍋「ORIBEさん」↑ は、土楽とのコラボ作品です。
形は土楽の「黒鍋」とほぼ同じです。蓋の持ち手のデザインや色が違います。
そもそも伊賀の土ってどんなでしょう?
福森道歩さん曰く、三重県伊賀は太古の昔、琵琶湖があったそうです。その琵琶湖の堆積物、有機物などの養分が、今現在の伊賀の土に含まれていて、その土でこの土鍋は作られています。その養分が料理をおいしくしてくれるんです、と。
土物には遠赤効果があります。すべてのモノには電磁波があります。その電磁波の波長の作用で起こる現象です。土物の電磁波には遠赤効果があるということです。それが料理をおいしくしてくれるのです。自然の不思議ですね。
そんな遠赤効果のある不純物なしの土楽の土鍋です。
我が家では土楽の「土瓶」で三年番茶を煮出したり、湯を沸かしています。お湯がまろやかになって、お茶やコーヒーを入れるとおいしくなります。角が取れて渋みもなくなります。
少し土楽の代表的な「土鍋」の底力について説明いたします。
伊賀焼・土楽の土楽の素晴らしいところは何と言っても、その耐火性、耐熱性。
炒める、焼く、オーブンなど、普通の土鍋では難しい調理にも利用できるので、料理の枠を超えて幅広く使え、一年を通して様々な料理が作れます。
食材やスパイスなどを炒めてから煮込むような料理が得意です。
我が家ではカレーも土鍋で作りますし、トマトソース、麻婆豆腐など、すべて土鍋を使います。土鍋で作れないのは揚げ物と野菜炒め(強火+短時間で仕上げる料理)ぐらいでしょうか。
オーブンでスフレを作ると膨らみがぺしゃんこになりません。
先ほどもお伝えしましたが、土鍋は火を入れると遠赤外線を出す特性がありますから、土鍋自体が蓄熱するため、食材全体をじっくり芯まで火を通すのです。
多くの食材は40度〜60度で酵素の働きが出ると言われています。土鍋は火を入れるとゆっくり温められていき、火を止めても冷めにくいので、酵素の働く時間が長く、食材の旨味を十分に引き出します。
(写真提供:野口さとこ)
スープなどは水だけでおいしく作れます!
これは土物の持つ特性で、遠赤外線効果の力。食材の旨味を十分に引き出すことができます。
また保温力がありますから、火を止めてもしばらく土鍋が調理してくれます。朝、材料と調味料を土鍋で火を入れておくと夕食頃味が染みて美味しくなる。そんな使い方もできます。
土楽の土物はおいしい味を引き出します。ぜひ台所の主役としてお使いください。