宮本しばにの覚え書き

studio482+店主の日々のことを綴ったブログ

小カブとお揚げさんの炊き合わせ

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この時期のおいしい炊き合わせは小カブと油揚げ。

トロッとしたカブと、ふっくら炊きあがったお揚げは、何ものにも代え難いおいしさ。土鍋がいい仕事をしてくれる。

 

〈作り方〉

 

 

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小カブの茎を2cmほど残して葉を切り落とす。

皮をむく。このときお尻から茎の方向へ縦方向に剥く。6回均等にむくと「六方むき」というのだけれど、それはあまり気にせず、縦方向に。こうすると煮崩れしにくく、姿も美しくなる。

皮の内側には硬い繊維があるので、厚めにむくのもポイント。もったいないと薄く皮をむくと、食べた時に硬い繊維が邪魔をして、せっかくの料理が台無しになる。

 

縦2〜4等分にカットし、茎のあいだの泥などを楊枝などでよく洗う。

 

土鍋8寸に油揚げ(湯通しして短冊切り)を2−3枚を入れ、その上にカブをのせる。

 

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油揚げ、かぶの順に。

 

だし汁300cc、日本酒とみりん各大さじ1・1/2、砂糖小さじ1、薄口醤油大さじ2/3(この料理には薄口醤油が断然いい)を入れて蓋をし、火にかける。

 

普段は鰹と昆布で取った「一番だし」を使っている。好みのだしを使ったらいい。

ちなみに私は、鰹節は削り節器で削る。昆布は北海道の羅臼昆布を使っている。

だしを取るときは絶対に沸騰させてはいけない。昆布のおいしいだしが出る温度は60度ぐらい。鰹は80度ぐらいなので、沸騰させてしまうと昆布からはエグ味が出てきて、鰹の香りも飛んでしまう。

だしを取るときに「おまじない」として、私はひとつまみの塩と日本酒を少し入れている。昆布と鰹の旨味がグッと上がるような気がするから。

 

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だしと調味料を入れて

沸騰して2、3分したら油(太白ごま油かサラダ油)をひと回しかける。

油を入れるのは、味が食材に染み込みやすくなるから。

そして薄口醤油を大さじ1・1/2加える。

薄口醤油は最初にも入れたので、トータル大さじ2強が入ることになる。

なぜ2回に分けて入れるのか。

2回に分けることで、醤油の辛さは立たず、先に甘さが食材に入ってくれる。味をやわらかくするわけだ。

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コトコト、コトコト。

蓋をして10分ほど煮る。

10分が過ぎて、蓋を開けるとかぶは透き通っている。楊枝を刺してみる。すーっと通っていたら火を止める。もしまだ硬いようだったらあと5分ほど煮てみよう。

 

カブがやわらかくなったら火を止める。蓋をしたまましばらく待つ。

どのくらい待つかというと、土鍋に手を触れて、まだ微かに温かみが残っているくらいまで。完全に冷めてしまってもいい。時間で言うと30分〜1時間ぐらいか。土鍋が冷める過程で、かぶと油揚げに汁が染み込んでおいしくなる。

この時間がとても大切。煮る時間よりも冷める時間に気を配る。

 

食べる前にもう一度温めて、土鍋ごと食卓へ運ぼう。

 

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完成!

 

このレシピを普通に書いたら、実は数行で終わり。簡単な料理だ。

けれど、細部まで見ていくと、こんな風に長い説明になるんだなぁ。

 まるで自分の内面を詳細に見ていくような感じ、笑。

丁寧に料理するって、自分を丁寧に観ることなんだ。

 

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使っている土鍋は伊賀焼・土楽窯で製作されたもの。

炒める、焼く、オーブン使いができる優れものです。

(今回のお料理に使った土鍋は土楽の福森さんから譲っていただいたものを使っています。studio482+では特注で造っていただいている織部色の土鍋を扱っています。)

 

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