山只華陶苑・加藤智也さんについて
寛政六年(1794年)から続く「山只華陶苑」。
その7代目、加藤智也さんは国際的な陶芸コンテスト、ファエンツァ国際陶芸展グランプリ受賞など、数々の展覧会で 受賞され、2012年には「JUJUシリーズ波紋櫛目すり鉢」で グッドデザイン賞を受賞されている気鋭アーティストです。
加藤さんのすり鉢の特徴は何と言っても「波紋櫛形」というすり目。スピーディーに、そして食材の香りを立たせる独特な技法です。
岐阜県高田地区で採れるガラス質を含む青土や長石にこだわりを持つ山只華陶苑。
それは、他の土よりもザラつきがあり、そのザラつきがすり鉢の摩擦力をさらに強いものにし、擦り心地の良さを作り出します。このざらつきが、香りを立たせるのです。
もう一つの大きな特徴は、加藤さんが9年かけて考案した「波紋櫛目」というすり目。この櫛目でよりスピーディーに擂れ、香りを最大限に引き出します。また、右利き、左利き、聞き手関係なく擂ることができます。
また、すり鉢を製作する工程では「中塗り」という、すり鉢の内側にガラス質を多く含む長石とベンガラを入れた釉薬を塗る作業があります。それによってすり目が硬くなり、丈夫になります。
「山只華陶苑」で製作されるすり鉢は型に入れて製作されるものと、ろくろをまわすものがありますが、studio482+で扱う加藤智也さん自身がろくろをまわし、ひとつひとつ手で製作しています。
加藤智也さんは家業を引き継ぎながら、芸術家としての才能も発揮。JUJU mortierシリーズはグッドデザイン賞を受賞しています。また、長三賞展大賞、陶芸財団点、朝日陶芸展、陶芸ビエンナーレなど、国内外の展覧会で受賞しています。
さて、私自身、すり鉢をもっと多くの人に使ってほしいという想いで、2016年10月にすり鉢の本を出版いたしました。
「野菜たっぷり すり鉢料理」(アノニマスタジオ)
「する」「叩く」「潰す」「すり下ろす」「ボウル」「うつわ」
6つの仕事をするすり鉢で作る小さなおかず、大きなおかず、サラダ、麺料理、ごはん料理、デザートなどなど、54レシピを掲載しました。
カレーやパスタなど、洋やエスニックの料理レシピもあります。
すり鉢は昔の道具ではなく、未来の道具だと思います。