宮本しばにの覚え書き

studio482+店主の日々のことを綴ったブログ

第一回「しばにゼミ」in 東慶寺

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東慶寺「白蓮舎」

言うなれば、今までの仕事を「形」にしたのが、この「ゼミ」ではないかと思います。

料理教室は1999年からスタートしましたが、数年経った頃、心のどこかで「何かが違う」と思い始めました。

何がどう違うのか。未熟さゆえに、そこから先は靄がかかったようでした。

 

 20年が経った今、モヤモヤしていた思いを整理し、それを拾い集めて、ようやく形となったのが、このゼミです。

 お寺でやりたいという思いが強かった。人が静かに料理を見つめ、自分を掘り下げていくのにはぴったりの場所だと思うから。東慶寺にお嫁に行った友人(どうも私たちはどこかの時代で母と息子の関係だったらしい、ふふ)、井上紀子さんのご縁でそれが実現できたことが何より嬉しく、天に感謝した次第です。

 

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このゼミに参加できるのは30歳以上の女性のみ。参加申込みは必ずご自身で、という割と厳しい条件があります。

今回、東慶寺に「料理教室に申し込みたいのですが...。」と電話があったときには「料理教室ではありませんので、東慶寺ブログを今一度お読みになってから、改めてご予約ください。」とお応えしたこともあったようです。

単にレシピを学ぶのではなく、自分で動き、料理しながら考える。お話会では聴いて、話して、自分を深めていくという「見えない部分を観ていく」ゼミです。

私が一方的に提供し、参加者がそれに従うのではなく、それぞれが能動的に何かを発見していく。料理はみんなで行いますが「台所でひとり立っているつもりでやってほしい」とお伝えしました。

 

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第一部は料理。

今回皆さんに作っていただいたのは「豆腐の和グラタン」「そばサラダ」「キャベツのサブジ」です。

グラタンは鰹と昆布だしも使って和寄りに、サブジはごはんのおかずとなるように。

火を止めるタイミング。食材を入れるタイミング。香りを嗅ぎ、音を聞く。

それぞれには合図があるから、それをしっかりと観る。

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キャベツのサブジ

感覚を養うことでレシピが自分のものになります。

失敗してもいい。結果にこだわらず、作る過程のひとつひとつを意識して作って欲しい。自由にね。

 

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食事のあと、第二部はお話し会。

今回は「がんが自然に治る生き方」(ケリー・ターナー著)からの抜粋です。

この本を選んだのは、私が9年半前に乳癌になり、手術も治療もせずに寛解した経験があるです。

この本は寛解したあとに読んだのですが、自分の体験と重なることが多い内容でした。

癌でなくても、病気でなくても、人は日々、様々なことで悩み、苦しみます。今回はその抜粋を読みながら「心がからだに及ぼす影響」についての意見交換をしました。

 

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抜粋はこんな感じです。

「身体をリードするのは心であり、その逆はあり得ません。

科学的にもこのことは事実として明かとなっています。人が心に思考や感情を強く抱くと、即座に強力な作用のあるホルモンが血液中に放出されます。放出されるホルモンの性質は思考や感情の内容によって変わります。身体に有益にもなれば、有害にもなります。

ー中略ー

生きることを心が愉しんでいれば、身体には生気があふれ出します。心が恐れや絶望の状態にあれば、身体は大切な生のエネルギーを受け取れません。」

by ケリー・ターナー

 

ゼミではご両親が癌であるとお話しくださった方や、夫が癌で、術後の毎日がつらく苦しい、と打ち明けられた方もいらっしゃいました。

夫との関係についてを話された方、偶然にも抗がん剤の治療薬の開発をされている方も参加されていました。

それぞれに思うところがあったと思います。

 

私が癌から寛解したときに思ったのは、それまでの自分は心が生きることを楽しんでおらず、いつも「ねばならぬ」で生きていたということ。自らで心を明るくしていく努力を怠っていたんだなぁとつくづく思いました。

 長年「負の心」を持ち続けることが、結局は自分の身体をも負にしていく、と経験上思うところであります。

「心身一如」(肉体と精神は一体)ということです。

 

 さて、心身一如であるを踏まえた上で、もう一つお話しをすれば、

この食材がからだに良い。この食物は〇〇に効く。そんな話を聞けば、人はこぞってそれを買い求めます。

それ自体は決して悪いことではありません。しかし、どんなに良い食事を摂ったとしても、心が腐っていたら(ちょっときつい言葉ですね、すみません)、思考や感情が曲がっていたら、からだに有害になる可能性は否定できないということです。

 

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台所仕事で大切なのは「どう生き、生かすか」です。

人が良いと言うのを買い求めるのではなく、目の前にある人参1本、じゃがいも1個を、どう生かし切るか。そちらの方がよほど心の肥やしになるのではないでしょうか。結局のところ、ひとつの食材を生かし切ることは、その人自身が生き切るということなのです。

 

生かし切る、生き切る、この連動は「気」の流れを良くし、心穏やかにしてくれると思います。人参1本、じゃがいも1個を生かすことで、心身にとって良いエネルギーとなるのです。

心を定めていく。それは周囲に翻弄されずに、自分を生きていくことの第一歩だと思います。

 

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 「しばにゼミ・東慶寺」は今後、細く長く、不定期で開催致します。

次回は7月頃かなぁ....。

 

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